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2010年2月1日 15:33

[対談:小暮真久×影山知明]

対談:変わりゆく価値観のなかで 1/3

マッキンゼーから松竹経由でTable For Twoへ

(影山)
今日は、小暮さんのパーソナルヒストリーから話をお聞きできたらと思います。
小暮さんの本『「20円」で世界をつなぐ仕事』を読んで一番印象に残ったのが、マッキンゼー米国オフィスでの仕事の当時、自分なりに達成感のあったプロジェクトの後、クライアントの社長から「本当のところは、君たちには分からないと思うよ。」と言われたという一節。これはどのような経緯でのことだったのですか、

(小暮)
東京オフィスから米国オフィスに移って、最初のプロジェクトこそよかったけれど、その後スランプの半年が続いていました。どうにもならない感じで、でもそれでもがんばれたのは、ニューヨークが楽しかったから、というくらいの状況で(笑)。

そうした中、最初の比較的順調にいったプロジェクトのマネジャーから声をかけてもらい、「お前がもっとできるのは知っている」と励ましてもらいながら取り組んだのが、その質問にあったプロジェクトでした。

そのクライアントは本社が日本にあり、米国法人の建て直しプロジェクト。当時、苦しい状況にありました。カルチャーも結構、人間味のある、感情を表に出すタイプの会社でしたね。密度の濃い充実した時間を過ごし、再生に向けてのいい提案もできたと思っています。実際、日本の本社からも「よくやってくれた」と言ってもらいました。

プロジェクト終了後、お誘いを受けたねぎらいの会の席で、米国法人の社長から「きっと私たちの気持ちの本当のところは、君には分からないと思うよ。」と言われたのです。ショックでしたね。自分なりの達成感があっただけに、なおさら。それ以上詳しくはおっしゃらなかったのですが、それはきっと「あなたたちは当事者ではないから。」というような意味だったのではないかと思います。

その後、東京オフィスに戻ってきましたが、どうしてもヤル気が出ず・・・。あまりにヤル気が出ないものだから、ミーティングの帰り、日比谷公園のベンチでぼうっと、なんてことすらありました。次は実業をやりたい。そんな気持ちが募っていったのです。

(影山)
それで松竹に移られたわけですね。
その先のお話、聞かせていただきたいと思いますが、その前にひとつ。個人的な興味も含めての質問を(笑)。
もし、いまマッキンゼーに戻って改めてコンサルタントになったとしたら、より結果を出せるという感覚はありませんか。

(小暮)
そうですね。松竹での経験、その後のTFT立ち上げの経験で、より視野が広がったということはあると思います。
ですが、TFTもある種ベンチャーと言っていいのだと思いますが、ベンチャーの立ち上げもそれはそれで独特ですからね。ひとつひとつをじっくり検証して間違えないことよりも、よりスピード感を持って取り組まないといけないことって多いですよね。そこはやはり大企業とは大きく違うところだと思います。
ただ「売上を立てる」というような金銭感覚について、より実感をもって捉えられるようになったという部分はあると思います。

(影山)
マッキンゼーの経験が役に立っていると感じるのはどういった部分ですか。

(小暮)
マッキンゼーで経験したことは、非常に役立っています。TFTの仕事の中でも、大企業の方たちと付き合うことが多いですしね。少なくとも彼らの仕事が想像できたり、ビジネス言語が話せたり、というのは、話をその先に進めるための必要条件ですね。

(影山)
松竹にいたのは1年半くらいだったと思いますが、辞めることには迷いはなかったですか。TFTがゼロからの立ち上げになるわけですよね。年収も・・・、ということもあったと思いますが。

(小暮)
1%ぐらいは迷いました(笑)。でもそれもジェフリー・サックスに会うことで吹っ切れました。自分のやりたいことを改めて紙に書き出していったときに、「これしかない!」、「この方向性しかない!」と思えたんですね。その気持ちは今もそうですし、だからこそ続けていけるといことがあると思います。

(影山)
松竹へ転職するときには、自分のところにも来てくれたし、色々な人に相談していましたよね。それと比べるとTFTを始めるときは、まわりにあまり相談することもなく、すごく踏ん切りがよかったような印象があるのですが。

(小暮)
そうですね。マッキンゼーのときには、分からないことがあるときは人に話を聞くのが当たり前でした。でも最後は自分の人生ですからね。自分の人生は自分にしか決められないのだと思います。

(影山)
そうですね。
松竹での1年半では、どのようなことを感じましたか。

(小暮)
マッキンゼーの会議が特別なものなんだということを知りました(笑)。もちろん単純な比較はできないのですが、大きな組織の中だと、会議の中でちょっとしたことでもなかなか決められない。逆に、夜の飲み会で物事が決まってたりして(笑)。いまTFTでもそのような部分、ありますけどね。

他には、総務や人事、健康保険組合など、マッキンゼー在籍時にはあまり出会うことのなかったセクションの方たちと仕事をできたのもいい経験でした。TFTを始めて、むしろそういう方たちとの接点が多くなっていますからね。

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